変わり咲きジュリアン その②

あまり長くなるとアレなので、先程の記事とは分けました。
キャストさんの感想を書いていこうと思いますが、メインさんだけ。

林明寛さん

実は、このメインキャストの中で唯一お芝居をみたことがなかったのですが、Niceおっさんの称号を贈ります、本当に30そこそこですか…
子供であれども、相手の言うことが良いと思えば謝るし、なんというか白瀬家は三春ちゃん含めいい大人だなぁ。
感情のラインがとてもスッキリしていて、劇中の登場人物みんなどこか癖があるから、白瀬家の場面はなんだか安心する(笑)
トークショーやカーテンコールでのお話をきいていると、ぽかぽかたいようさんみたいな方だった。

相馬圭祐さん

今年二度目まして、ピカレスクセブンで今年一発目のお芝居として拝見していました。
インタビューとかを見ていると、すごく内気で口数少なくて、繊細な感じ。
その繊細さが根底にあるからか、広島弁をしゃべる男性なのに、どこか色気があるし、わけのわからない感情の吐き出し先が暴力ってのはなんだかありそうだな、という気がしていて。
ジュリアンへ「お前もわしを見つけえよ」口説くところの説得力。

藤原祐規さん

いつ見ても「うまいなぁ」って思っちゃう役者さん。
初日見たとき「あ、変人がおる、めっちゃゆがんでんなー」っていうのが感想、でもきっと、これ間違ってないと思われる。
主人公の道先案内人といいますか、「パノラマ記憶を撮る」目的のためではあるけど、主人公のけつを叩く叩く、ふっきーさん、ノリノリですやん。
なぜ彼が走馬灯を撮ろうと思ったのか、先輩の件があったからなのか、もしくは別のことなのか。

田上真里奈さん

今作のタイトルロールかつ、実質の主人公かな。
歌もダンスも芝居もできる子、なので、こなすことが多い役というのは何度も見てきていますが、いやぁ、そんなの抜きに今回すごかった。
田上さんに当て書きしたのがジュリアンなので、もちろん田上さん自身が持つスキルとかを遺憾なく発揮しているのですが、内なる感情を20分間爆発させ続ける彼女に圧倒されて。
とはいえ、爆発的な独白の中でもきっちりお芝居していて、広島弁でのモノローグをはさみつつ、東京で過ごした幼少期~10代半ばまでと広島で白瀬のストリップ小屋で働くことになるまでの標準語、その後の広島弁、年齢を重ねる事に変化する眼差しと声。
演技しているというよりは、ジュリアンそのもので、より一層、彼女が纏う赤が強くなって。
でも、誠一と話しているときや、新幹線でのくだりは、なんだかすごく田上真里奈さんの優しい感じが出てて。
「変わり咲きジュリアン」を背負う見事なジュリアンっぷりでした、演劇妖怪が誕生した瞬間。
余談ですが、田上さんを育てた!と言っても過言ではないCLIEの吉井Pが「平野、唐橋なみの怪優」と仰っていたのが、ファンとしては心から嬉しかったです。

小澤亮太さん

実は割とここに書いたのが全て、だったりするのですけど、技術とかそんなんじゃなくって、その人自身がもつ個性によるものなんだと思います。
主人公?って言われると、主人公ではあるけど、彼の視点で再生される夏の思い出に色濃く残るのはジュリアンで、印象度で言うとジュリアンの方が残るかも。
ただ、個人的には先の更新でも書いたのですが、誠一はラストシーンに向かうために彼が主人公なんだろうなって思ってて。
人生を振り返って「人生いいときもあれば悪いときもある、あんなの、すごろく遊びですよ」と言ってみたり、ジュリアンへの手紙だったり。
そこで紡がれる言葉に嘘がなくって、思いやりがあって、ラストのジュリアンとの掛け合いは互いに優しさにあふれてて、それが夏の余韻に寄り添うような形のラストが最高だと思います。