デジステは新たな扉を開けてしまいました

なんだかルパン的な銭形的なタイトル。
舞台「デジモンアドベンチャーtri. ~8月1日の冒険~」、が8/13に幕を閉じました。
前回は初日が終わった直後でしたので、終わった後の感想ということで改めてのエントリーでございます。

デジステの感想としてまず思い浮かぶこと、それは「デジモンが生きていた!」
人形なんですけど、声で、そして操演者と一体となった動き、そしてパートナーである子どもたちの演技、これが合わさると命があるものになるんですね。
デジタルワールドをプロジェクションマッピングで表現して、ってなった場合、デジモンたちの生きている感じをどう表現するのかというのが、デジステの大きな一つのテーマだと思っていまして、それを演りきったというのは、演劇業界に一石を投じたのではないかなと思います。
きっと、これまで舞台化は無理だと思われていた作品や表現といったのが、このデジステを機に増えていくのだろうなぁ。。。



そして、先にちらっと書いたプロジェクションマッピング、こちらもすごかったのです。
キャンプのときの星空もとても美しかったですし、子どもたちが閉じ込めれられてしまったデジタルワールドが暴走するところで、子どもたち自身のデジタルワールドの記憶一つ一つが走馬灯のように流れ行く光景は、美しくも圧倒的。

デジモンたちが持つ息吹とは対極的な無機質さが、「生」を際立たせていて、だからこそ、ヴェノムヴァンデモンアンデッド戦の太一とヤマトの煌めきがすごかった。
P3WMのニュクス・アバター戦のプロジェクションマッピングといい、圧倒的な「生」を際立たせるための映像での演出って、ぐっとくるものがありますね。

あと、ゲームやったことある人には理解いただけると思いますが、ヴェノムヴァンデモンアンデッドが迫り来る場面が、なんだかとても・・・FF4のデモンズウォールを思い出してトラウマ発動しそうになりました(え


谷さんの手がけた脚本・演出もすごくよかった。
この物語は丈先輩が未来に向けて歩む姿という部分が、それぞれのキャラクターの思い悩む部分を際立たせていて、ある意味丈が裏の主人公なのがとても良かったです。

また、出だしでデジモンが生きていること、その後の子どもたちパートで、おそらくデジモンアドベンチャーで一番キャラがわかりやすいミミちゃんにキャンキャン騒がせて、1幕最後はエテモンショー爆笑させ、休憩明け2幕は、丈先輩とゴマモンの笑いで始まり、観客が自然に物語にジョインするような導入が個人的にはおおっと。

谷さんが手がける作品というのは今回初めて見たのですが、とても素敵な演出をされていて、いつか機会があったら他の作品も観てみたいですね。


役者陣については、元来から主人公よりもその脇の人たちが好きなのもあるのかもしれないですが、今回も例に漏れず、丈先輩、光子郎くんが素敵でした。
というか、単純に私がコメディーできる役者さんだったり、掴めない役者さんというのが好きなので、役柄的にもご本人の性格的なところも、私のドンピシャなんだろうなと思います(笑)

最後に、ミミちゃん役の田上真里奈さん、タノウェイについて。
まず思ったのはやはり台詞がはっきりと聞こえるというのは舞台において相当な強みだなというのを今回特に感じました。
序盤のワチャワチャな部分とか特にそうですが、台詞一言一言が伝わりますし、それに伴って台詞に込められた細かなニュアンスというのも伝わってくる。
そのニュアンスっていうところですと、タノウェイのお芝居におけるバランス感覚って本当凄いなと改めて感じまして、今回の結構ミミちゃんって加減が繊細だと思うんですよね、やりすぎるとただのわがまま自己中な子になっちゃいますし。
だけど、舞台でのミミちゃんは負の部分より、天真爛漫、明るく、優しい子、仲間を大切にする子だというのが全面に出ていて、原作知らないのに「ミミちゃん可愛すぎるだろ」ってなりましたからね。
あとは、ミミちゃんは展開のきっかけ部分だったりとか、割と構成上起点の動きをしていることが多かったりとか、考えたらOPの歌に合わせたキャラクター紹介でもミミちゃんが一番最初で、ミミちゃんは起点を担うキャラクターというのは予めあったのかもしれないですね。
あとはパルモンとの息の合い方がバッチリで、わしやさんといいコンビですねぇ、カテコとかお辞儀をしながら頭フルフルさせてるパルモンかわいすぎか。
あ、あと最後に。
演技の部分で、ミミちゃんが敢えて空ちゃんのことを「空」と呼び捨てにするシーン、初日は呼び捨ての違和感があったのですが、千秋楽では言い方のニュアンスを変えてきて、非常に納得しました。
あの場面は自分の内面を吐露する場面、空と二人きりになったミミは、思い悩む空の言葉を聞くために、敢えて後輩ではなく仲間としてああ切り出したのだと。
大きな愛で仲間を支えてきた空の見せる弱さという部分と、いつまでも後輩ではないミミなりの成長というのを表現した場面で、個人的に実はすごく好きなシーンなのです。


気がついたら長く書いてしまった(汗
デジステ、本当に素敵な舞台でしたし、とても幸せな時間でした。
またこの世界と再会したいです、そうできると信じている!!